• MIho Kasuga

嵯峨景子氏『氷室冴子とその時代』①

嵯峨景子氏『氷室冴子とその時代』(小鳥遊書房、2019年)を読んでいます。大変読み応えがあるので、少しずつ報告していきたいと思います。

まず本日は1章、2章について。


第1章は「氷室冴子以前―文学と少女漫画の揺籃期」となっています。

この章で心に残ったことは、『ざ・ちぇんじ!』の執筆に「80冊の資料を使った」というコメントが紹介されていることです。古典文学作品、しかも『とりかへばや物語』という一筋縄ではいかない作品をアレンジするという着眼もさることながら、その背景に膨大な知識の蓄積があったことが改めてわかります。

また、折口信夫に傾倒していたという指摘も、『銀の海金の大地』(集英社)の熱烈な愛読者であった私には納得させられるものでした。

彼女の創作が非常に膨大なインプットから生み出されていたこと、それゆえに揺らがぬ屋台骨を持っていたことが明らかになっています。


第2章は「作家デビューから『クララ白書』まで」となっています。

この章で心に残ったことは、『クララ白書』について、「女子校の寄宿舎という設定を用い、氷室は女の子とが女の子でいられる究極の世界を作り上げた。そこは女の子が価値観や美意識を歪めずに生きることができる、解放区でもあった」(79頁)という部分です。

なぜ自分が氷室冴子の作品に熱狂したのか、ということの答えが書かれていたような気がしました。

また、この章には、徹底して音読して自分の文章を確認していたというエピソードも紹介されています。第1章、第2章ともに、嵯峨氏の丹念な資料の掘り起こしと読解により、氷室冴子のストイックな有り様が伝わってきます。


以後も楽しみに読み進めていきたいと思います。


閲覧数:26回0件のコメント

最新記事

すべて表示

雪の東京ですね。 今年は、しっかり論文を書く、それをとにかく目指していきたいと思います。 第一目標は2月にある私的研究会。そこでしっかり発表することです。 今は、学生さんのレポート分析をしています。 採点の祭典の最大級のものはすでに終了したので、研究モードにシフトチェンジです!

だい レポートの採点などで少し間があいてしまいました。 本日は届いたばかりの「日本文学」第70巻第12号から。 今井久代氏「古語「いとほし」について―恥ずかしい自分を見つめる目―」を読みました。 筆者には既に「青表紙本系『源氏物語』の全386例」を調査された先行研究があり、それをさらに発展されたものとなります。 形容詞の扱いは難しい、と思ってしまいます。 筆者も「いとほし」について述べられるように

週末、レポートチェック、授業準備と論文を読むことが滞っております…。 それでも手を動かしたいとき用に、今まで書いた論文の再校正を少ししました。 さて、今日は授業で「若菜上」巻あたりの話をしたのですが、紫の上の話をしていて、 こみあげるものがあるのをこらえる、という状況が何回もあり、自分でもびっくりしてしまいました。 そもそも『源氏物語』の何が好きって紫の上が好き。と言えるような状況だったのですが